「アセットアロケーション(Asset Allocation)」とは、資産を様々な種類(アセットクラス)にどのように配分するかを決めることを指します。
具体的には、あなたの持っている投資資金を、以下のような異なる性質を持つ資産に、どのくらいの割合で投資するかを決定する戦略です。
- 国内株式
- 海外株式
- 国内債券
- 海外債券
- 不動産(REITなど)
- コモディティ(金、原油など)
- 現金・預金
なぜアセットアロケーションが重要なのか?
投資の世界では、「運用リターンの8割はアセットアロケーションで決まる」とも言われるほど、非常に重要な考え方です。その主な理由は以下の通りです。
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リスクの分散(軽減):
- それぞれの資産は、値動きの傾向が異なります。例えば、株式が下落しても債券は比較的安定していたり、逆に上昇したりすることもあります。
- 複数の異なる資産に分散して投資することで、特定の資産が大きく値下がりしても、全体の資産価値の変動を抑えることができます。これが「分散投資」の基本的な考え方であり、アセットアロケーションはその核となります。
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リターンの安定化:
- リスクをコントロールしながら、長期的に安定したリターンを目指すことができます。
- 一つの資産に集中投資すると、一時的に大きなリターンを得られる可能性もありますが、それ以上に大きな損失を被るリスクも高まります。アセットアロケーションは、そうした極端なリターン変動を避け、計画的な資産形成を可能にします。
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目標達成への道筋:
- 個人の投資目標(いつまでにいくら貯めたいか、など)やリスク許容度(どれくらいの損失なら耐えられるか)に合わせて、最適な資産配分を決定することで、目標達成の確率を高めます。
- 例えば、若くてリスクを比較的取れる人は株式の比率を高めに、定年間近で安定性を重視したい人は債券の比率を高めにする、といったように、ライフステージに応じて調整することも重要です。
「ポートフォリオ」との違い
アセットアロケーションと混同されやすい言葉に「ポートフォリオ」がありますが、以下のような違いがあります。
- アセットアロケーション: どの**資産の種類(アセットクラス)**に、どれくらいの割合で配分するか、という「大きな枠組み」や「設計図」です。(例:国内株式50%、海外債券30%、現金20%)
- ポートフォリオ: アセットアロケーションで決めた比率に基づいて、実際にどの個別銘柄やファンドを、どれくらいの量で保有するか、という「具体的な中身」です。(例:国内株式のうち、A社株を100株、B社株を50株、投資信託Cを〇口、など)
つまり、まずアセットアロケーションで大まかな方向性を決め、その設計図に基づいて具体的なポートフォリオを構築していく、というのが一般的な資産運用の流れとなります。